岡山で活動する武将隊(鉄砲隊)vol.2/備州岡山城鉄砲隊

岡山県で活躍する武将隊第2弾は、本物の甲冑に身を包み戦国・江戸時代の火縄銃を駆使して大迫力の演武を見せてくれる「備州岡山城鉄砲隊」の紹介です。私たち岡山戦国武将隊も岡山城や他のイベント先でお会いする時には本物の凄さに驚嘆しています。「備州岡山城鉄砲隊」が出陣する岡山県内のイベントや神事などを紹介していきます。
掲載日:2025年03月28日
  • ライター:岡山戦国武将隊
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「備州岡山城鉄砲隊」とは?

「備州岡山城鉄砲隊」は、藤岡流古式砲術(近江甲賀郡の 藤岡六左衛門長悦が創始した砲術)を継承している火縄銃の砲術隊です。もとは日本甲冑武具研究保存会 岡山県支部の中にあり、昭和58年岡山城鉄砲隊として独立しました。その後、「備州岡山城鉄砲隊」と名称を変更し、県内外各地の行事に出掛け古式砲術の大迫力の演武を披露している、岡山の観光イベントや歴史関係の行事には欠かせない団体です。また、古式銃の展示や講演活動も行っています。現在45名の隊員により構成されています。

藤岡流砲術と池田家

藤岡流砲術は慶長年間、近江甲賀郡の住人、元祖藤岡六左衛門長悦が創始したもので、特徴として早打ち・数打ち・四方乱町早放・大筒が挙げられるそうです。初代・藤岡六左衛門長悦は稲富流の小筒を得意とし、それを池田輝政に見込まれて慶長14年に250石で召し抱えられました。大阪冬の陣にも出陣し武功を挙げ、100石加増され350石取りとなっています。

池田家と共に岡山へ

藤岡家は慶長期、因幡の池田家に仕え、池田光政の備前への国替え後も引き続き池田家に仕えました。以来、岡山藩の砲術として藤岡流は連綿と受け継がれていきました。他にも池田藩には多くの流派が存在しましたが、特に藤岡流砲術は藩主に近接した流派なのです。

短筒~大筒まで変化に富む砲種

「備州岡山鉄砲隊」が演武で使用している火縄銃は、馬上で使う小さめの馬上筒(4匁※もんめ/1匁=3.75g)からレギュラーサイズの軍用筒(6匁)、士筒とよばれる上級武士が持つ10匁、20匁、30匁、50匁、100匁などの大筒の火縄銃です。日本の火縄銃の大きさは銃に込める鉛玉の重さによって表されます。小さな馬上筒でもかなり大きな音がするのですが、大型の50匁、00匁の大筒となれば耳を塞ぎたくなるような爆音で大迫力!これだけの大筒を使用した演武を見られるのが「備州岡山城鉄砲隊」の大きな特徴です。

火縄銃を扱う技術も本物!

大筒などは打った時の反動が見ていてとても大きく、火縄銃を扱う技術も相当なものです。「備州岡山鉄砲隊」には、古式砲術の初段から最高段位十段までの保持者が約30名もいらっしゃいます。火薬も使うので高い技術と知識・熟練が必要となるのです。

厳格な管理の下に行われる演武

火縄銃といっても銃砲類なので、使用される火縄銃は一つ一つ全て登録されているものです。刀剣類と同じく登録されていないものは所持することも出来ません。演舞の際には、火薬を使用するため演武会場の所管の警察署に会場の見取り図、使用する火縄銃全ての登録証、使用者、発砲の順番や時間、それぞれに使用する火薬の量、火薬を運搬する車両などの必要書類を提出して火薬の消費許可を受けなければなりません。そしてようやく火薬を購入できる火薬の譲受許可がおりるのです。厳格な管理の下に安全に演武発砲が行われています。

身に着ける甲冑は全て本歌(本物)

そしてもう一つの特徴として、各隊員が着用している甲冑は全て本歌といわれる本物の甲冑なんです。200年~400年前の江戸時代の甲冑で、使用感もあり、現代甲冑のような新しさはありませんが、まるで戦国時代からよみがえってきたようです。
中には六十四間小星兜(ろくじゅうしげんこそてかぶと)と呼ばれる兜の完成形といわれる六十四間筋兜(ろくじゅうしげんすじかぶと)に、あえて古式な小星と呼ばれる鋲(びょう)を残したものや、本小札と呼ばれる小さな部品を何百枚と少しずつずらして重ね漆で何重にも塗る毛引き嚇し(けびきおどし)とよばれる方法で繋がれ作られた鎧など、とても手間暇かかった文化財級の甲冑を惜しげもなく身に着けている隊員の方も。演武中にもこれらの甲冑の説明が隊長からあり、演武後に隊員の方々との交流の場もあるので、間近で見ることもできます。

とても凛々しい女性砲手

女性隊員の方も3名いらっしゃいます。白い袴に赤い陣羽織、旗指物を背にした甲冑姿はとても凛々しく美しいです。女性隊員だけの演武もあります。30匁の大筒を打つ女性射手は日本全国でも3名程しかいないそうです。とても勇ましい姿に観客の皆さんも大きな声援をおくります。

岡山県内外のイベントに出陣!

「備州岡山城鉄砲隊」は岡山県内の数々のイベントや行事などに出陣し、迫力の演武を披露して観光客や参列者に人気を博しています。恒例の行事・イベントからスポット出陣するものまで、2024年は14回も演武を行っています。2024年に出陣したイベント・行事をいくつか見て行きましょう。紹介しているイベントや行事は毎年恒例なので、2025年に出陣が決まっているものです。その他の出陣は「備州岡山城鉄砲隊」の公式サイトでご確認ください。

津山さくらまつり(3月29日~4月13日/津山市)※演武は4月6日

さくらの名所・歴史公園・名城と、それぞれのジャンルで日本100選に数えられる「津山城」。公園内に咲き誇る桜が周辺を薄紅色に染め、本丸から見下ろす景色や夜桜など様々な楽しみ方ができます。夜間ライトアップも行われるほか、楽しいイベントもあり。「備州岡山鉄砲隊」は毎年出陣しています。演武会場は津山城表中門。

【津山さくらまつり】
開催日時:2025年3月29日(土)~4月13日(日)7:30~22:00開門(裏門は~21:00)
※備州岡山城鉄砲隊演武は4月6日(日)11:50~
入園料:高校生以上310円、小人無料、津山市在住65歳以上無料

城山公園まつり (4月13日/赤磐市)

吉井川の清流のほとり、戦国時代に茶臼山城という山城があった地に整備された「城山公園」で開催される春恒例のイベント。眼下に吉井川を望む眺望抜群のお花見スポットで、春には山肌をピンクの桜が彩ります。山頂には城型の展望台があり、当時の遺構も残っています。歩いて行ける距離には歴代片桐池田家の墓所や戦国時代の遺構がよく残る大仙山城もあります。

【城山公園まつり 】
開催日時:2025年4月13日(日)9:00~15:00
※備州岡山城鉄砲隊演武は11:50~12:40

子安神社大祭(5月5日/岡山市)

吉備津彦神社」の境内にある「子安神社」は、岡山藩池田家ととても関わりの深い神社。慶長年間、岡山藩備前監国の池田利隆公が子宝に恵まれなかった際、祈願後たちまち名君と仰がれた光政公が誕生されたと伝えられています。縁結び、子授け、安産、育児の神様として知られ全国から熱心なお参りがあります。毎年5月5日の子安神社大祭は、縁結び、子授け、安産、育児の御神徳の高い大神様に日頃の感謝の意を表すとともに、子どもの健やかな成長を祈願するお祭り。「備州岡山城鉄砲隊」の神事が特別奉納されています。 

【子安神社大祭】
開催日時:2025年5月5日(月・祝)10:00~
※備州岡山城鉄砲隊神事特別奉納は11:40~12:10予定
(時間は変更することがあります)

吉備津彦神社秋季大祭(10月19日/岡山市)

備前国一の宮である「吉備津彦神社」は桃太郎のモデルとなった吉備津彦命(きびつひこのみこと)を祀る神社です。伝統的な神社建築の建物と深い緑の樹木が一体となった境内はとても神々しい雰囲気で、パワースポットとしても知られています。10月の秋季大祭では「備州岡山城鉄砲隊」による、岡山の除災招福を祈願した古式砲術神事がおこなわれます。

【吉備津彦神社秋季大祭】
開催日:2025年10月19日(日)※10月第3土曜日の翌日曜日
※備州岡山城鉄砲隊特別神事奉納の時間はご確認ください

津山総鎮守・徳守神社大祭(10月26日/津山市)

創始は733年と伝えられ、慶長9年(1604年)初代津山藩主・森忠政公に現在の地に新たに造営され、津山城下の総鎮守とされた「徳守神社」の大祭。大祭のお神輿御巡幸は約1トンのお神輿で、大きさ含めその巡幸規模の大きさなどから日本三大神輿のひとつといわれています。「備州岡山城鉄砲隊」は毎年出陣しています。

【津山総鎮守・徳守神社大祭】
開催日:2025年10月26日(日)
※備州岡山城鉄砲隊演武時間はご確認ください

矢掛の宿場まつり大名行列(11月9日/矢掛町)

江戸時代、参勤交代で往来する諸大名の宿場町として繁栄した、山陽道の矢掛宿。昔ながらの本陣・脇本陣も今なお旧姿をとどめています。近年は街並みはもちろん矢掛グルメやスイーツで若者にも大人気のスポット。毎年11月の第2日曜日、趣きあるまち並みを舞台に往時の大名行列が再現されます。「備州岡山城鉄砲隊」は毎年出陣しています。

【矢掛の宿場まつり大名行列】
開催日:2025年11月9日(日)
※備州岡山城鉄砲隊演武時間はご確認ください

岡山県古武道祭(11月16日/岡山市)

岡山県古武道連盟が主催する、2025年で46回目を数える古武道祭。明治維新以前に成立した実践から生まれた様々な武術・武芸を総称して「古武道」と呼んでいます。刀・槍・ 鉄砲・ 身一つと、様々な流派が現在も残っています 。古武道祭ではこれらの流派が一堂に会し、それぞれの武道を披露。2024年は16流派、約200名が参加しました。入場無料で誰でも本物の武芸を身近で見ることができます。

【岡山県古武道祭】
開催日:2025年11月16日(日)
会場:岡山武道館(岡山県岡山市北区いずみ町2-1-8)

岡山城(岡山市)

「備州岡山城鉄砲隊」の本拠地である「岡山城」では、年間通じて様々なイベントが行われています。やはり各隊員が背に指す「兒」の旗指物と池田家の備前揚羽の陣羽織が「岡山城」にはよく似合います!

おしまいに

古式砲術を受け継ぎ、それを駆使して岡山県内の様々な行事やイベントで活躍する「備州岡山城鉄砲隊」を紹介しました。見るものを圧倒し楽しませてくれている彼等の神事や演武が行われる開催地は、ほとんどがその季節の一番の見頃・見所となる岡山の観光スポットです。岡山観光もきっと2倍楽しめるでしょう。ぜひ「備州岡山城鉄砲隊」の神事・演武を見に来てください。
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