瀬戸内の負の遺産を世界遺産へ。史跡をめぐりながら学ぶ長島愛生園見学ツアー

わが国第一号のハンセン病国立療養所として、昭和5年(1930年)に作られた「長島愛生園」。こちらでは長い間誤った隔離政策が行われた歴史ついて、学芸員さんやボランティアさんのガイドで学ぶ見学ツアーが行われており、様々な人権問題について考えるきっかけを提供してくれます。また現在、瀬戸内3園(瀬戸内市の長島愛生園、邑久光明園、香川県高松市の大島青松園)では、療養所の歴史と教訓を後世に残すため、世界遺産登録を目指して活動しています。
掲載日:2017年12月05日
  • ライター:おか旅編集部
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歴史館

長島愛生園の管理棟として建てられ、園の運営事務を行っていた旧事務本館は、現在は内部を改装し、歴史館としてハンセン病の歴史や人権問題について学べる場所となっています。入所者の作ったジオラマで島内を俯瞰して知ることができます。
園の成り立ちをはじめ、ハンセン病に関する年表や隔離政策の実態など、時代ごとの「長島愛生園」での出来事を紹介した資料が常設展示されています。館内には語り部によるメッセージが聴講できる映像室や、陶器や写真、絵画など入所者の作品展示を行うギャラリーもあります。

収容桟橋

昭和14年に設置されたコンクリートの桟橋です。収容される人の多くは岡山駅まで患者専用の車両で運ばれ、さらに対岸の虫明港まで護送車と呼ばれる車で移送され、船でこの場所に上陸しました。この桟橋は療養所の入所者専用で、職員用とは分けられていました。

収容所(回春寮)1

島に隔離された入所者がまず収容された建物です。ここで検査や入所手続きが行われ、現金、米、懐中電灯などの禁止物品が取り上げられました。また、着ていた衣服もホルマリン消毒された後、返品されました。

収容所(回春寮)2

入所者はクレゾールの入った消毒風呂に入れられ、全身を消毒されました。体の検診、病歴の確認、その他の入所手続きが済むまで、約1週間をこの建物で過ごし、ここで社会との隔絶を意識した人も少なくありません。

監房跡

開園と同時に秩序維持を目的に設置された監房です。しかし、実際には逃亡した人を多く収監しました。また、懲戒権が療養所長に与えられていたため、ほとんど裁判も行われなかった治外法権の場でした。戦後も使用され続け、昭和28年に「らい予防法」が改正されてようやく廃止になりました。現在は埋め立てられて外壁のみが見られます。

納骨堂

ハンセン病に対する偏見や差別は家族にまで及んだため、亡くなっても遺族は遺骨を引き取ることができませんでした。そのため園内に残されたご遺骨を祀る納骨堂が造られました。ここには故郷に帰ることができない3600柱を超える遺骨が眠っています。

●見学バス運行のお知らせ

国立療養所 長島愛生園では、JR赤穂線邑久駅から月1回(第2土曜日)見学バスが運行され、園内を巡るガイドツアーが行われています。(要事前申込)

【運行日】
2018年10月13日以降、月1回第2土曜日運行(2019年3月まで)
午前9時30分 JR邑久駅発

【料金】
無料

【人数】
27名(最低催行人数5名) 先着順

【行程】
邑久駅発 9:30 (JR赤穂線邑久駅着 上り9:05 下り9:22)
愛生園着 10:00 歴史館見学・歴史回廊見学
愛生園発 12:00 納骨堂下
邑久駅着 12:30(JR赤穂線邑久駅発 上り12:49 下り12:34)

【申し込み方法】
お申し込みフォームまたは電話にて
(担当 森・田村 0869-25-0321 平日16時まで)
 
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