旧野﨑家住宅とは
野﨑家は、従業員と”利益とリスク”を分かち合う「当作歩方制」で事業を経営していました。この経営方法により、リスクと収益が平準化され、生産性も向上したのです。190年も前にこのような進歩的な経営手法を取り入れていたことに驚きです。
また、野﨑家は米騒動などの不穏な時期でも無事であったと言われています。このことからも野﨑家が地域社会との良好な関係を築き、信頼を得ていたことがわかりますね。
そんな魅力的な野﨑家の邸宅は、敷地面積約3000坪・建物延床面積1000坪と、広大な敷地です。
現在上映中の『ミステリと言う勿れ』など、映画やドラマのロケ地にもなっています。
どんなところなのか、一緒に見ていきましょう。
内玄関
内玄関とは、普段使いの出入口です。
貴賓用には別の玄関があるんですよ。
表玄関
さざれ石
「君が代」で歌われている「♪さざれ~石の~ いわおとな~りて~♪」のさざれ石。
さざれ石とは、細かい石・小石のこと。それが集まって長い年月をかけて固まり、巌(いわお)となったものです。
さざれ石、私は初めて見ましたよ!
表書院
上の間は十二畳半、下の間は十五畳の下の間、廊下も合わせるととっても広い!たくさんの人が集まれますね。
表書院の外側には水琴窟もあり、綺麗な「カ~ン」という音を聴くこともできます。
「えっ?!こんなに響くの!?」という不思議体験かつ綺麗な音なので、ぜひ実際に音を聴いてみてくださいね!
表書院の縁側
表書院はひさしを長く取ってあるので、雨などでの傷みが少ないそうです。そのひさしを支える「桁」は、なんと17mのアカマツ一本物。
縁側に座ってゆったりと眺めるお庭は…
庭園
美しく手入れされたお庭にも、様々なストーリーがあります。
左手に見えるソテツは、池田家のお殿様から賜ったソテツとのこと。岡山後楽園のソテツの兄弟になりますね。
そして、真ん中にある大きな石。こちらは塩田一帯の地図にそっくりな石とのこと。ひび割れている部分は、川を表しています。
中座敷
9つの座敷が並んでいて、なんと42mもあります。一番手前のお部屋は、言うなれば社長室です。
ここで、一番奥の座敷にある掛け軸を覚えておいてくださいね。後で出てきます。
中座敷には明かり取りの窓があったり、電気が使えるようになった時には照明が取り付けられたりと、日本家屋内を明るくする技術も興味深いですね。
神社と枯山水庭園
なんと敷地内には神社もあるんですよ!
右側に見えるのがその鳥居。
塩の神様(塩竃神社)、火の神様(秋葉神社)、商売の神様(稲荷神社)が 祀られています。
石垣
この中に一つだけ扇形の石が積み上げられています。扇の形は末広がりで縁起がいい!ぜひ探してみてくださいね!
広~い野﨑家が一望できる高台。
ガラスを使った天窓や、明かり取りの窓、レンガが使われている場所、そして蔵も見えます。
立派な瓦がたくさん並んだ屋が美しい!
本瓦葺きは社寺建築などに使われ、耐久性と強度が高く、見た目に美しいのが特徴です。
台所
昔の調理道具がたくさん展示されており、見ていてとっても楽しい!
アイスクリームメーカーやワッフル焼き器など、新しく珍しいものを取り入れている様子が伺えます。
見事な蔵
展示館
私が伺った時には、旧野﨑家住宅が所有している貴重な書画がたくさん展示されていました。赤のポイントが鮮やかで巧緻な中国絵画を見ながら、野﨑家と当時の文化人の交流に思いを馳せます。
野﨑家が所有している美術品は、付随する資料も散逸されずにしっかり残っているのも素晴らしいところ。
野﨑家は芸術の庇護者という側面もありますね。
「野﨑家の書画展」は2023年11月9日(日)まで展示のご予定です。ぜひ本物の美術品をご覧ください。
ビジネス、歴史、建築、文化、芸術、文芸…野﨑家の魅力は多岐にわたります。
向座敷
母屋の写真のところで「覚えておいてくださいね~」と書いた、奥に見えていた掛け軸がある部屋はこちらです。
なんと、一周ぐるっと回った最後に再び現れました。
ここまで長く繋がっていることにビックリです。
野﨑家を全て一度に見られるチャンスは今!
旧野﨑家住宅に関する興味深いお話や魅力を、わかりやすくご説明頂きました。
このような大きく立派な旧家が残っていることは全国的にも珍しいので、ぜひご来場くださいとおっしゃっていました。
また、令和7年度からは大がかりな改修工事が始まり、何年もかけて部分的に見られなくなることが予定されています。一周全部見られるチャンスは今!ぜひ、足を運んでみてくださいね。
児島ジーンズストリート
日本的な旧野﨑家住宅と、舶来のジーンズが共存していて面白い通りです。
ぜひゆっくりとご覧になってみてくださいね。
営業時間・料金・アクセス
『ミステリと言う勿れ』のロケ地であり美しい日本家屋の野﨑家ですが、その他にもビジネス、歴史、文化、芸術、文芸…と、沢山の魅力がありますので、ぜひ足を運んでみてくださいね!
◎特集『ミステリと言う勿れ』×岡山映画ロケ地≫
【国重要文化財 旧野﨑家住宅】
所在地:倉敷市児島味野1-11-19
TEL:086-472-2001
開園時間:9:00~17:00(入館は16:30まで)
休園日:月曜日(祝日の場合は翌日)、12月25日~1月1日
入園料:大人500円、小・中学生300円、高校生以下は、土日祝は無料
駐車場:普通車36台、バス5台(無料)
交通アクセス(公共):JR児島駅から徒歩約25分、または小川経由倉敷駅行きバス約5分、「大正橋」下車、徒歩約5分