「自分を恥じず、正しい道を歩く」…和気清麻呂がカッコイイ!【和気神社】

和気清麻呂をご存知ですか?奈良の平城京で、身を挺して天皇を守った忠義の人。平安京建設の現場監督でもあります。そんな彼の出身地は、岡山県和気町。和気清麻呂を祀っている和気神社の宮司さんから和気清麻呂のエピソードを聞くととともに、和気神社の魅力も教えてもらいました。
掲載日:2017年08月04日
  • ライター:  
  • 41520 ビュー

まず、和気清麻呂って分かります?

和気清麻呂というのは、ざっくり言うと①和気町出身で奈良時代に天皇の側近として仕え、②天皇になりたいと望む僧侶、「道鏡」の出現により危うくなった天皇の立場を守り、③命を狙われたり島流しにあったけど、④名誉を回復し、平安京を建設する際や各地の治水工事での現場監督的な立場で大活躍したのです。

そんな和気清麻呂が祀られている、由緒正しき和気神社!

和気清麻呂の魅力を教えてくれたのは、気さくな宮司の小森さん。「日本の秩序を守るため天皇の存在が必要だと判断し、危険を顧みずに守り抜いた。大局的に国の行く末を見る目があったんですね。地味に見えますが奥深い人。2000年以上続く天皇の血統が守られたのは彼のおかげだと思います」とのこと。

①和気町から、都で天皇の側近へ

地方豪族の子どもたちは、成人すると上京して朝廷に仕えていた時代。和気町藤野で生まれ育った清麻呂もそうでした。天皇側近の警護役として働き、貴族の勢力争いや政治的な暗躍をその目で見てきたに違いありません。そして彼が37歳の時、事件は起こります。
(写真→和気神社の拝殿。正面に立つと、向こうに本殿の扉が見えるようになっています)

②天皇の位を狙う道鏡から、天皇を守れ!

朝廷に、「道鏡を天皇にすれば、天下は太平になる」という宇佐八幡からの神託が届きます。揺れる朝廷、大喜びする道鏡。そこで清麻呂は宇佐八幡に行き、これが本当の神託かどうか確認するよう命じられます。道鏡は清麻呂に「自分が天皇になれば、大臣の位を与える」と誘惑しますがー。
(写真→自分だけは恥じることがないよう、正しい道を歩もう。という清麻呂の志が書かれた石碑)
神の前で一心に祈った清麻呂。すると「道鏡を除くべし」との真の神託が下されました。いそぎ都に帰り、その旨を報告すると、朝廷は安堵に包まれました。清麻呂は、天皇の血統を守ることを選んだのです。しかし道鏡は激怒。清麻呂を不名誉な名前に改名させ、流刑に処します。
(写真→美しい装飾彫刻が施された本殿。くるりと一周回って、じっくり見ることができますよ)

③流されて鹿児島…でもイノシシが味方に

道鏡の怒りは収まらず、鹿児島へ向かう清麻呂に刺客を差し向けたりと危険な旅路。さらに清麻呂は、途中で足が萎えて動けなくなります。しかしそこへ300頭のイノシシが現れて、清麻呂の行く道を安全に誘導。到着した時に足はすっかり治っていたんだとか。
(写真→狛犬ならぬ、「狛いのしし」が守り神として祀られています。なでると足腰が良くなるかも!?)

④流刑を解かれて完全復活。数々の大仕事を歴任

厳しい暮らしをしていた清麻呂でしたが、光仁天皇が即位されて道鏡が左遷。清麻呂は流刑を解かれて都に呼び戻されます。誠実で、自分を顧みずに正しい道を進む人柄、またデキる仕事ぶりを評価され、どんどん信頼を得ていく清麻呂。そして遂に、平安京の造営の現場監督として手腕をふるいます。
(写真→拝殿の隣にある社。天神様の飛梅伝説にちなんで、梅とウグイスの装飾が施されています)

苦節を経て、最後は「学問の神様」に…!

河川の工事や財政職務など、数々の職歴をこなしてきた清麻呂。日本最古の私立学校「弘文院」を建て、次世代を担う子どもたちの教育に力を注ぎました。そのことから「学問の神様」とも呼ばれ、今も子どもの学力向上を願う親御さんがたくさん参られます。
(写真→上記の社の裏には、こんな石がたくさん。子どもの名前と生年月日を書いた「名付け石」を納めて学問成就を祈願するのです)

お姉さんの広虫姫は日本初の孤児院を作った人

実は、清麻呂の姉である広虫姫も有名人。早くから女官として宮廷に仕え、出家した後は身寄りをなくした83人の子どもたちを引き取り、自分の養子として育てたのです。それが日本初の孤児院だと言われています。今では「子育ての神様」として信仰されている広虫姫。姉弟そろって人格者だったんですね。
(写真→躍動感あふれる狛いのしし君は、全部で4頭います)

藤公園や椿園…四季折々、見どころ満載

清麻呂にまつわるエピソードから、学問の神様、子育ての神様、足腰にもいい…と幅広いご利益で愛されている和気神社。季節ごとの見どころも満載で、特に4月下旬〜5月上旬に行われる「藤まつり」は有名。全国46都道府県の藤の木を約100種類収集した藤公園があり、全国から観光客が集まります。

毎年8月16日は「和文字焼きまつり」開催!

毎年和気町民を中心に、各地から人が集まる「和文字焼きまつり」。毎年8月16日に吉井川河川公園(和気橋付近)で開催されます。和気神社をお参りした後は、清麻呂の名前がついた「清麻呂太鼓」の演奏や、和気の「和」の字に火が点る「和文字焼き」、約2500発もの打ち上げ花火を楽しんではいかがですか?

で、やっぱり和気清麻呂はカッコイイ

「今、天皇の血統が絶えると、世の中がもっと荒れる!」と日本の先を読み、命を危険にさらしても天皇を守り、官職に復帰してからは、仕事だけでなく次世代育成やにも尽力…。どれをとっても、簡単にできることではありません。地味にスゴイ!もっと有名になってほしい!和気清麻呂はやっぱりカッコイイ人物なのです。
マップを見る

同じテーマの記事

このライターの記事