現在、赤磐市だけでしか生産されていない「冬美白」は、他の白桃が収穫時期を迎える夏を越え、秋までの長い時間をかけてじっくりと大きく甘くなり、栽培の間に台風や鳥獣の被害を乗り越え、出荷に辿り着ける果実は極わずかという、希少で貴重な白桃です。今回は果物のプロフェッショナルとして人気の岡山市のフルーツパーラーで、話題の「冬美白」を初めて味わった実食レポートをお届けします!
岡山名物の代表格・おかやま白桃
名産のひとつである岡山白桃は、夏の短い期間に旬を迎え、あのジューシーで芳醇な唯一無二の香りと瑞々しい味わいが不動の人気を誇ります。そんな岡山名物の代表格である白桃に、なんと冬を迎える今の季節に食べられる白桃があるそうで、新たな岡山名物として近年話題となっています。
秋から冬にかけての期間限定、幻の白桃「冬美白」
秋から冬にかけて食べ頃を迎える「幻の冬桃」といわれる白桃が「冬美白(とうびはく)」です。「冬美白」は2022年現在、岡山県を代表する桃の産地「赤磐市(あかいわし)」の若手農家9名のみで栽培されている希少な品種です。「冬美白」が花を咲かせる時期は一般的な桃と同じ時期ですが、その実は夏を過ぎて秋の訪れとともに大きくなり始め、時間をかけてじっくり大きく甘くなっていくそう。
「冬美白」の特徴のひとつは果実の大きさです。平均350gを超え、 500g強の果実もあります。糖度も多品種よりも平均して高く、ただ甘いだけでなく糖度、香り、風味と酸味のバランスを考え育てられ、雑味や渋みのないクリアな桃本来の風味を楽しむことができます。
もう一つの特徴は、その独特な食感。夏の桃と比べて果肉がしっかりしており、採れたてはりんごや梨のようなシャキッとした食感、1週間ほど追熟すると従来の夏の桃のようにやわらかな食感になるのだそうです。
冬美白プロジェクト
赤磐市では9人の若手農家が「冬美白プロジェクト」としてタッグを組み、知恵を出し合い栽培生産に取り組んでいます。現在89本の樹を栽培し、生産チーム自ら大都市圏にも営業を行うなど精力的な活動が実を結び、知名度も高まり注目を集めています。
この「幻の冬桃」冬美白がフルーツパフェとしてわずかの期間だけ限定で味わえるお店があると聞き、ぜひ食べてみたい!ということで、予約して早速行ってきました。
観音山フルーツパーラーOKAYAMA(おかやま)
私自身岡山にいながら、地元の果物でもなかなか身近に食べる機会がないものもあるなぁと感じていましたが、「観音山フルーツパーラーOKAYAMA」を訪れるたびにこれまで知らなかった品種や地元岡山の果物など旬に出会えるので、いつも新鮮な驚きと発見があります。
凛とした雰囲気の中に温かみを感じる店内には旬のフルーツの説明や案内が随所にあり、こちらも興味深いです。
すごい……近くで観るとその精巧さがさらにわかります。
幻の冬桃「冬美白パフェ」
美しさに「わあぁ!!!」としか言葉が出ません。綺麗にカットされたフルーツの盛りつけは芸術品のようで、360度回転させてしばらく愛でていました。
「我が子のように大切に、大切に追熟させ、一番おいしいときに『冬美白パフェ』として提供しています」と話す店長の中村さんからも、果物への愛情が伝わってきます。
実食!
まずは一切れ、一口でいただきました。
岡山の真夏を思い出す、懐かしくて芳醇な香りを冬にも堪能できる幸せを感じます。次々と変化する食感と味わいを堪能しました。
「冬美白パフェ」は2022年分の事前予約枠はあっという間に完売し、あとわずかの冬美白の追熟次第で可能な日は当日お店で提供されます。今年食べられなかった方は来年を楽しみにしていてください。季節ごとに登場する各限定メニューは公式SNSで販売の開始、終了の情報がタイムリーにわかるのでチェックして行くのがおすすめです。
【追記】2022年分の冬美白パフェの販売は終了しました。来年の冬美白の成長、収穫をどうぞお楽しみに!
旬フルーツの農園パフェ
宝石みたい……!
訪れた時は、柿や梨、りんごに葡萄、深まる秋の旬の果物がカラフルに競演。観音山自慢のみかんジャムと生クリーム、ヨーグルトの相性が抜群でした。季節のフルーツがたっぷりと楽しめる「旬フルーツの農園パフェ」、今回はカウンターでいただいたのですが、こちらの背景も大人でクール!
どちらの背景にも、パフェが美しく映えて素敵です。
筆者も数々のパフェを食べ歩いていますが毎回、試行錯誤。でも観音山フルーツパーラーOKAYAMAのInstagram投稿を見ていると、毎回最高に美味しそうなんです! ぜひ実際に訪れて目でも楽しめる観音山のフルーツを満喫してみてはいかが。
季節限定のメニューは期間、数量が限られるため、公式SNSで発信される販売開始、終了予定はぜひチェックを。公式Instagram, TwitterではDMにて予約も可能なので、限定メニューは特に予約がおすすめです。
【取材店舗】観音山フルーツパーラーOKAYAMA
【住所】岡山市北区奉還町1-5-15
【アクセス】岡山駅西口(運動公園口)から徒歩約5分
木々が色づく季節、紅葉も色濃く深まる秋から本格的な冬に向かいます。2022年の「冬美白」は今年の収穫と出荷を終え、岡山県内でも今年度は店舗販売も終盤を迎え、あとは飲食店で食べられるところを残すのみとなります。年間を通して旬の果物や野菜が並ぶ岡山県内の以下店舗では、来年も「冬美白」の販売が決定しているそう。わずかの期間の限られた旬の「冬美白」に出会える日が来年も楽しみです。
●農マル園芸 あかいわ農園[赤磐市]
●稚媛の里・農産物直売所[赤磐市]
●天満屋 岡山本店[岡山市]
●岡山タカシマヤ(高島屋岡山店)[岡山市]
●農マル さん直市場 岡山店[岡山市]
●農マル園芸 吉備路農園[総社市]
「冬美白」のこれから
凛として美しいこの名前は、地元小学校の生徒さんたちからアイデアを募り500を超える応募の中から一番多かった3文字を選び名づけられました。「冬に美しい白桃」というだけでなく赤磐市のある東備(とうび)地方にかけて、赤磐そして岡山を代表する桃へと成長してくれるよう願いが込められているのだそうです。
「夏は清水白桃、秋から冬にかけては冬美白、そんな時代を創っていきます!」という気概にあふれた「冬美白プロジェクト」の皆様のお話、「冬美白」を大切にされている様々な方々の思いを知ると、「冬美白」への愛着がさらに湧いてきます。年々美味しさを増しているという「冬美白」。さらに進化していく「冬美白」のこれからを、心から楽しみに応援しています!