甘くてほっこり♪岡山・老舗和菓子店の進化するカフェ3選

岡山にある老舗和菓子店が、名物菓子や新作スイーツを楽しめるカフェを近年、次々と新装オープンしています。NHK連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」第一部の舞台が岡山となり、岡山弁と共にさらに注目が高まっている岡山の和菓子店。気軽に行ける老舗和菓子店の喫茶・カフェからも、岡山の菓子文化を感じてみませんか?
掲載日:2021年12月22日
  • ライター:小池香苗
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大手饅頭伊部屋「大手まんぢゅうカフェ」(倉敷市)

岡山県倉敷市の倉敷美観地区の川沿いに、なまこ壁の蔵造りが美しいカフェがあります。岡山市の老舗和菓子店・大手饅頭伊部屋と岡山市のコーヒー専門店・暮らしと珈琲が協同で創った「大手まんぢゅうカフェ」。店内はカウンターと物販のスペース、その奥に白を基調とした喫茶スペースが続き、ギャラリーのような現代的な印象も感じます。
ところで皆様、「日本三大まんじゅう」をご存知でしょうか。 旅に出ると国内観光地では様々なご当地まんじゅうに出合えますよね。日本ではなじみ深い和菓子・おまんじゅうの中で「日本三大まんじゅう」と言われているのが、福島県・柏屋の「薄皮饅頭」、東京都・塩瀬総本店の「志ほせ饅頭」、そして岡山県・大手饅頭伊部屋の「大手まんぢゅう」なのです!
この「大手まんぢゅう」ワールドをたっぷりと堪能できる場所が、「大手まんぢゅうカフェ」です。
ここでは、備前銘菓 大手まんぢゅうや自家焙煎珈琲、大手まんぢゅうのあんこをアレンジした甘味が味わえます。カウンターでメニューを選び、奥の席へと進みます。

 
友人とともにオーダーしたのは、大手まんぢゅうのあんこを使用した「大手ぜんざいセット」(写真)と、一番人気の「蒸したて大手まんぢゅうセット(2個付き)」。

あぁ、大手まんぢゅうのあんこって、なぜこんなに美味しいのでしょう。繊細でなめらかで、何度も食べたくなる味です。そのほか、大手まんぢゅうのあんこに合わせて専用に焙煎した「大手まんぢゅう専用珈琲」や種類豊富なドリンク、大手まんぢゅうソフトなど随所に大手まんぢゅうを感じられるメニューが満載でした。

店内奥には一点の美しい絵画が飾られ、一際、目を惹きます。そこに描かれていたのは……
なんと、「大手まんぢゅう」!
倉敷にとても縁が深い、児島 慎太郎氏の作品です。

なんともいえず美しい小豆の絶妙な色味、独特なフォルム。私はこの絵画がすごく好きになりました。この作品を見るためにも、また訪れたいと思います。ここはインテリアにも遊び心があり、来るたびに発見があるのも楽しみのひとつ。店内にはほかにも大手まんぢゅうファンならきっと気づく、粋なデザインが見られます。ぜひ探してみてくださいね。

【写真提供:株式会社 大手饅頭伊部屋】
心躍るお土産もたくさんありました。大手まんぢゅうと専用焙煎珈琲のセットや、大手まんぢゅうの包み紙がデザインされたマスキングテープなど、家でも大手まんぢゅうワールドに浸れますね♪ 老舗和菓子店の建築を思わせる、入口から奥へと細長く続く店構えが懐かしくもあり、あずきとコーヒーのいい香りに包まれてしあわせなひとときを過ごせました。

カフェがある倉敷美観地区には、このような形態のお店や細い路地が多くあります。川沿いの移ろう景観や趣ある倉敷の町並み散策は、気になるお店に立ち寄りながら1日楽しめておすすめです。

廣榮堂本店「廣榮堂茶房 ひねもす」(岡山市)

【写真提供:株式会社 廣榮堂】

きびだんごを基礎に新しい「食」全般のご提案をしたいと2019年12月にリニューアルオープンした「廣榮堂茶房 ひねもす」。木の温もりの中で四季折々のお菓子とお茶を愉しむことができます。

大きなのれん、丁寧なお出迎え。凛とした雰囲気に背筋がすっと伸びます。
色とりどりの和菓子が整然と並ぶカウンターの奥に、茶房があります。和の甘味をはじめ、季節のメニュー、時間・数量限定で旬の野菜を使用したランチを堪能できる「ひねもす御膳」など月毎に替わるメニューもあり、何度も訪れたくなるお店です。
訪れたときは「ホットケーキ風どらやき」がありました。このメニューは数量限定のため、あるとラッキーなのだそう。せっかくなので注文しました。

ホットケーキ風どらやきには、「岡パク」として有名な岡山パクチーを育てる農業法人アーチファームのパクチー畑で採れた、希少な蜂蜜を使用。あたたかいどら焼きに岡山・蒜山ジャージー牛のバターがたっぷりトッピングされています。ふんわりとした生地に、バターのコクと蜂蜜の優しい甘さがぴったり! 1日8食限定の貴重な逸品です。出合えたらぜひ、味わってみてください。
こちらは、冬季限定メニューのぜんざい。寒くなる季節、特に嬉しいですね。
四季折々の上生菓子に、夏は自家製シロップのかき氷などメニューには毎月新しい品も並び、「むかし吉備団子セット」、「焼きたて調布セット」など岡山県民おなじみの和菓子も店内で味わうことができます。
店内は重厚感と温かみのある木のインテリアで、一枚木のテーブルやカラフルなステンドグラスに光が移ろい、心身ともにリラックスできる空間でした。釘を使わない木組みの伝統的な日本建築の中で、「ひねもす」の名の通り、ゆったりとくつろげるひとときを満喫できました。
「廣榮堂茶房 ひねもす」へは、岡山駅から路面電車・岡山電気軌道の東山線「中納言」電停下車、徒歩すぐです(駐車場もあります)。徒歩3分ほどのところに大きな橋(京橋)があり、京橋のたもと一帯では毎月第一日曜日(1月は第二日曜日)に「備前岡山京橋朝市」も開かれます。広々とした旭川沿いの晴れやかな景色、路面電車が行き交う風情ある界隈も散策してみてください。

竹久夢二本舗敷島堂「シキシマドウノカフェ」(岡山市)

岡山県瀬戸内市の竹久夢二本舗 敷島堂が2021年 新たに岡山市内にオープンした、カフェと菓子店併設の敷島堂 平井店「シキシマドウノカフェ」。オープン当初から、つくりたての美味しさを味わえるカフェが注目を集めています。岡山市郊外の平井という地にあり、岡山駅からはバス、車で20分前後。バイパス(2号線)経由では、倉田で降りて北へ車で10分ほどです。

広々としたお店に並ぶ色とりどりの和洋菓子、少し照明をおとした木造りの落ちつける空間のカフェスペース。カフェでは、店舗で販売されるお菓子にはないケーキなどの洋菓子をいただけます。
まずは一番人気の「しぼりたてモンブラン」! 
注文を受けてから店内でしぼりたてを作っていただけます。

伝わるでしょうか、コーヒーカップに負けないこの大きさが。香り高く、風味豊かなモンブランクリームがたっぷり! サクサク香ばしいフロランタンに、モンブランの底にもサクサクのメレンゲ。サクッ、とろっ、ふわっ、サクッ……次々に変わる食感を楽しめます。甘さ控えめ、フロランタンのほろ苦さが大人の味わいです。
ティラミスも、モンブランと同じくらい迫力ある一品です。真っ白なお皿にカカオパウダーで美しく仕上げられ、織りなす層は芸術品のよう。優しい甘さとなめらかな口どけで、大きいのにスルスルと食べられます。ポイントはかくし味。中には粒あんが潜んでいて、コクのあるマスカルポーネチーズとビターなコーヒー風味に、あずきの甘みが合います。コーヒーといただく老舗和菓子店の洋菓子は、和の要素も効いて美味でした。

そのほか、新感覚の食感が楽しいわらび餅ドリンク「わらピ-WARAPi-」もおすすめ。岡山・蒜山の濃厚なジャージー牛乳に本わらび粉など厳選素材を使用し、和と洋が融合した味わい、癖になります!
店内には、敷島堂が応援する障がい者アーティストの作品も飾られています。

敷島堂はSDGsの取組みの一環として障がいへの理解を深め共生社会創造の貢献を目的に、障がいを持つ大人と子どもを対象に「夢二式美人を描こう!コンテスト」を2021年に開催。岡山出身の画家・竹久夢二の美人画をモチーフとして自由な発想で夢二式美人を描いてもらう取り組みです。

大賞に輝いた作品は、花を愛でる女性のメイクと着物がハイカラで、お花とのコントラストが映え、遠くから見ても際立っていました。間近で見ると、力強いタッチに惹きこまれます。アート作品には「知ることは、障がいを無くす。」というメッセージが添えられ、作品に対応した QR コードを読み取ることで作者の今までの人生に触れることができます。

そして、独特な色づかいと立体感で一際目を惹いたのが、シキシマドウノカフェ名物のモンブランを描いた作品。原色が交錯し、自然にそびえ立つ山のように雄大にも見え、でもこのフォルムは間違いなくシキシマドウノカフェのモンブランだ! と、見ていて楽しくなりました。展示作品は随時変わるので、楽しみにまた来たいと思います。
カフェスペースの隣には和菓子、生菓子、洋菓子まで種類豊富なお菓子が並び、その多くがひとつから買うことができます。いろんな種類を選べるのも嬉しいですね。名物の夢どら、夢ぷりん、季節の和菓子など、家でも楽しめるいいお土産になりました。

おいしいスイーツを味わいながら芸術作品を愛でることができ、あたたかなサービスがとても心地よかったです。アートに触れるくつろぎのひとときを体感してみてください。
【写真:NHK 連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」巡回展in岡山より ライター撮影】

岡山の老舗和菓子店にはそれぞれ、個性あふれるお菓子が揃っています。岡山の歴史とともに伝統が大切に引き継がれ、進化を続ける岡山銘菓の数々。ユニークな新作菓子も次々と生み出されています。

今回は老舗和菓子店の喫茶部門に新たな潮流を感じ、カフェにスポットを当ててご紹介しました。それぞれのお店のお菓子への想いとおもてなしを、心地よい空間で美味しいお菓子と一緒に堪能することができました。

訪れるたびに進化する岡山の老舗和菓子店のカフェ、みなさま思い思いにぜひ楽しんでみてください。
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