岡山名物ママカリを釣って、料理して、美味しく食べるまで

岡山名物といえば、桃、マスカット、きび団子、ばら寿司、黄ニラなどを思い浮かべますね。しかし、ママカリも忘れてはなりません。ママカリとはサッパと呼ばれる体長15cm位の海にいる小さな魚です。このママカリを使った料理が岡山土産として美味しいと大人気。今回はママカリを釣りに行って、捌いて、料理して、美味しく頂いて来ました。釣り初心者でもファミリーでも楽しめるママカリ釣り。県内の釣り場もご紹介します。
掲載日:2024年06月18日
  • ライター:曲輪衆◎たけ
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ママカリとは?

岡山名物の一つであるママカリ(サッパ)ですが、実は日本全国の沿岸で簡単に釣れる魚です。岡山以外の釣人はママカリが釣れてもすぐ海に返します。持って帰りません。いわゆる外道と呼ばれる部類の魚です。でも岡山県人はママカリを狙って釣りに行きます。なぜならママカリは食べるととっても美味しいからです。
ママカリの酢漬けや、ママカリのまる寿司が岡山の郷土料理としてあり、岡山土産としても大人気です。ママカリと呼ばれるのは、あまりにも美味しすぎてご飯が足らなくなり、隣にご飯(ママ)を借りに行くから!

仕掛けや撒き餌を調達

まずは釣具屋さんに寄って仕掛けや撒き餌の購入です。ママカリ釣りにはサビキという仕掛けが一般的でエサは使いません。釣具屋さんでは近くの釣りの情報が集まります。釣り場や仕掛けのことなど何でも聞いてみましょう。今回お邪魔したのは倉敷市玉島にある「オーシャン玉島店」。店長おすすめのママカリ専用のサビキ仕掛け(岡山の釣具屋さんには必ず置いてあります)とその下に付ける錘、念のため撒き餌用の冷凍アミエビと練り餌も購入。いざ!釣り場へ。

【オーシャン玉島店】
所在地:岡山県倉敷市玉島阿賀崎1511-1
TEL:086-522-5559
営業時間:5:00~20:00(土曜日・日曜日は4:00~20:00)
定休日:年中無休
駐車場:あり

釣り場①玉島E地区清水倉庫前(倉敷市)

今回、釣行したのは、倉敷市玉島にあるE地区と呼ばれるところです。「オーシャン玉島店」の店長さんに教えていただいた清水倉庫前と呼ばれる釣人の間では岡山県内でも人気の釣り場です。ここには立入禁止の岸壁もあるので注意しましょう。車を横付けして、竿に仕掛けをセットして、サビキ仕掛けの一番下に錘をつけるだけ。すぐ前の護岸から竿を出します。安全のためライフベストを着用して釣りスタート!
なんと一投目からママカリが!竿先に何とも心地良い引きです。回遊している群れにぶつかった時にはいっぺんに5匹鈴なりにかかることも。食い気がないときは、錘付きのカゴに変えて撒き餌を詰めて釣ると良いようです。
飽きない程度に釣り続け、2時間弱で30匹も釣れました。初ママカリ釣りのピンク殿も大はしゃぎです。とっても楽しく手軽な、釣り初心者でも簡単に釣れるママカリ釣り。サビキ仕掛けだけで釣るので、釣り針への餌付けが苦手な方でも心配ご無用。
3日後にも同じE地区の清水倉庫前に釣りに行ってみました。平日だったので釣り人はさほど多くはありませんでしたが、3人組のグループが先行して釣っていました。ちょうど私が着いた時に、なんと35cmのチヌを釣りあげていました。サビキ仕掛けに掛ったそうです。ママカリやイワシ、ヒイラギと40匹ほど釣っていました。ここは平均的によく釣れるスポットなんですね。チヌを釣り上げたのは、岡山でソプラノ歌手・モデルとして活動している内田万衣子さん。最近釣りを始めた初心者ということですが、手軽に釣れるママカリ釣りにはまっているようです。

釣り場②玉島E地区玉島ハーバーブリッジ北側(倉敷市)

次にやってきたのは同じE地区の玉島ハーバーブリッジのすぐ北側の岸壁・玉島4号埠頭。ここも玉島E地区の中で人気のポイントです。ママカリはもちろんですが、5月、6月にはコウイカがよく釣れるポイントとしても人気です。シーズン中は多くの釣り人でにぎわいます。平日は船が接岸して作業している場合もあるので注意してください。1時間くらいで10匹釣れました。

釣り場③高梁川河口(倉敷市)

倉敷市を流れる高梁川河口の西側になります。中国電力の排水口があるためよく釣れるので人気のスポットです。ここはチヌ釣りやヒラメのルアーフィッシングのポイントとしても人気で、土日は常連の釣り人でいっぱいです。平日などに排水口のところが空いていれば潮の引いているときに釣ることができます。サビキ仕掛けの上に大きめの浮きをつけて、排水口の流れに乗せて沖に流していきます。先行者がいたのでお聞きしてみると1時間くらいで15匹釣れていました。玉島E地区周辺の釣り場はママカリがほんとによく釣れるスポットでした!

釣り場④旭川河口東側(岡山市)

岡山でママカリ釣りといえば旭川河口と新岡山港も人気です。春からベストシーズンの10月・11月にはたくさんの釣り人で賑わいます。この辺りの情報は旭川河口東側の堤防沿いの道路ぎわにある「平田釣具店」に立ち寄って、気さくなお母さんに聞いてみましょう。昔っからの釣り人御用達の釣具店で、毎週木曜日に地元新聞に釣り情報を提供しています。そして、なんと釣具店の建物は昔走っていた鉄道の駅舎。ここから岡山市街地の新京橋までをつないでいた三蟠鉄道の起点の駅だったそうです。
旭川の河口にある三蟠港は、江戸時代から明治後期まで岡山県の主要外港として繁栄していましたが、1910(明治43)年の宇野港(玉野市)開港により衰退していきました。港の復活を賭け三蟠鉄道は、三蟠港(現在の岡山市中区江並)と国清寺(こくせいじ/岡山市中区門田屋敷)の間を走っていた軽便(けいべん)鉄道で、7.25kmの距離を1日11往復運転をしていたそうです。運行期間(大正12年~昭和6年6月)が約16年と非常に短かったため、幻の鉄道と呼ばれています。

【平田釣具店】
所在地:岡山県岡山市中区江並三蟠港461-6
TEL:086-277-6758
営業時間:6:00~20:00
定休日:なし ※不定期で休みやお店にいない時間があります
駐車場:あり

釣り場⑤新岡山港(岡山市)

休日ともなれば多くの釣り人で賑わうのが新岡山港。隣接する公園「新岡山港市民の森」ではキャンプもでき、無料駐車場もあります。満車の場合も隣に有料駐車場もありトイレもあるので便利です。ママカリ釣りはフェリー乗り場の西護岸か北護岸が足場も良く安全なのでファミリーに人気の釣り場です。立入禁止の場所もあるので注意しましょう。私が行ったときは西護岸は船が積み込み作業中で入ることができませんでした。このようなときは絶対に入らないようにしましょう。
ここではママカリはもちろんのことコノシロ(コハダの大きいもの)もたくさん釣れました。お隣にいた常連さんはクロダイを短時間に3匹も!玉島と新岡山港で釣れたママカリをここで捌くことにしました。新岡山港近くにはもう一軒釣り具屋さんがあります。「釣具のタイム岡山本店」です。仕掛けや道具がとても豊富で、新岡山港のポイントや情報なども得ることができますので釣行前に寄ってみるのがおすすめ。

【釣具のタイム岡山本店】
所在地:岡山県岡山市中区江江崎170-7
TEL:086-940-7255
営業時間:5:00~22:00
定休日:なし
駐車場:あり

ママカリを料理する!

さあ!食材が揃ったのでママカリを料理していきましょう。まずは鱗取り。小さな魚なので包丁などで簡単に削ぎ落とすことができます。今回は手軽なのでハサミを使って鱗を落として行きました。コツは頭をつかむとやりやすいです。
次は酢漬け用にママカリを捌いていきます。ここでも簡単なのでハサミを使いました。まず頭を飛ばします。内臓がある部分の腹から肛門にかけて一気に切り取ると簡単に内臓を取り出すことができます。ここで気になる方は背ビレ、腹ビレ、尾ビレを切り取っておくと良いでしょう。
今度は捌いたママカリをきれいに水で洗っていきます。特に腹の内部の背骨のある部分をよく洗っておきましょう。
このままの状態で酢漬けにする人もいますが、今回は三枚におろして、背骨と腹骨を削ぎ落としました。この後は少量の塩をふり、10分位冷やします。こうすることで余分な水分や臭みをとることができます。余分な水分が出てきたら水に少量の酢を加えた酢水で綺麗に洗い、キッチンペーパーなどで水気をよく切って下処理は完了です。
ままかりの酢漬けには2タイプあります。捌いて一度焼いてから漬け込むものと、生のものをそのまま漬けるものです。これは好みの問題なので各家庭でも様々です。両方作って食べ比べたかったので釣った半分を焼いていきます。
ままかりの漬け酢も各家庭それぞれです。今回は一般的な酢、醤油、砂糖を使った漬け酢を作りました。ママカリ20匹くらいで、酢200cc、醤油50cc、砂糖小さじ2、生姜少々、鷹の爪少々。生のものはそのまま。焼いたものは冷える前にすぐ漬け込みます。お好みでタマネギやミョウガなども一緒に漬け込むと更に美味しくいただけます。約一晩寝かせれば完成です。
今回作ったままかり料理は一般的な「ままかりの酢漬け」と「焼きままかりの酢漬け」、ままかりの酢漬けを酢飯の上に乗せた「ままかりの丸寿司」、そして
「ママカリの南蛮漬け」です。食べるとやはりとっても美味しい。御飯が進む。“まんま”が何杯あっても足りません。ご飯のお供にも、酒の肴にも最高!焼きままかりの酢漬けはとても香ばしくて私はこちらが好みでした。

おしまいに

とっても手軽に楽しく釣れるママカリ。釣れるシーズンは4月~11月頃まで。旬は年2回あり、5月6月と10月11月です。特に10月11月は湾内にアミエビが湧いて入ってきてママカリが爆釣れする時期です。今回紹介した玉島と新岡山港以外にも岡山沿岸の瀬戸内海ではママカリの釣れるポイントがたくさんあります。自分で釣ったママカリとなると更に美味しくいただけそうですね。ママカリ釣り、ぜひ体験してみませんか?

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