世界最大の木版画を見上げる!(倉敷国際ホテル/ロビー)
見上げても見上げても掴み切れないスケール感。
しかもこれを制作したのが晩年の60才頃というから驚きです!
常設でこのクオリティの作品が見られることに感謝。
ホテルの設計者である倉敷出身浦辺鎮太郎は、横浜の開港資料館や日本各地の有名ホテルの設計も手掛けた人物です。
人も、己も、励まし光れ!(倉紡記念館)
昭和時代(戦前・戦中)の展示室でひと際異彩を放つ襖絵です。
クラボウで働く従業員を力づけてほしいと依頼され、選んだモチーフは故郷青森市の花ハマナスとイナズマ。
強く生きること学びつづけることを表現し、励ましました。
棟方と大原総一郎(4代目社長)は叱咤激励しあう存在だったことが近年書簡などからも明らかになっています。
寒い砂地に自生するハマナスのように鮮やかな紫紅色の花を咲かせ、実をつけてほしい。
「玉琢(磨)不、器成不、人学不、知不道」12文字の漢字がそれぞれに語ってきます。
信じて航(ゆく)のみ!(鶴形山の鐘楼)
この鐘楼に吊るされた梵鐘こそ棟方デザインによるもの。
「人生は果てしない大海原を漂うごときのものでどこへ行くのかは分からない。
今日もまた菩薩の慈しみを信じて航(ゆく)のみ」
4体の観音像とともに記された漢詩はこんな意味をあらわしています。
お隣観龍寺の庭園からの眺めはイチ押しですよ!
鐘楼の下の小さなトンネルは大正15年皇太子行啓記念に造られたものです。
版画なのに一点モノ!(大原美術館)
棟方作品は刷った後(ウラ)から彩色するなど、同じ版から刷ったものでも1つとして同じものがないとも言われています。
唯一無二であること。たったひとつの真実をひたすらに追い求めた姿と作品が重なります。
広い広い大原美術館。すべての名画を見て回りたいところですが、
1人のアーティストに焦点をあててじっくり向き合ってみるのもおすめです!
特に棟方室のある工芸館は染色家・芹沢銈介設計によるもので元土蔵の味わい深さがあります。
江戸からつづく歴史の舞台!(旅館くらしき)
当時から飛びぬけた目利き力で道具を選んでいた棟方。
そんな棟方のまさにお眼鏡にかなったのが名宿・旅館くらしきの巽の間です。
柳、中橋、倉敷川。まさに美観地区を詰め込んだ眺望と美しさにほれ込んだのも納得の格式です。
屋号は大原総一郎(2代目)、ロゴデザインは芹沢銈介、改築時の設計は浦辺鎮太郎。
名だたる人物のオンパレードに憶してはなりませぬ。
気軽にランチも楽しめる懐深き老舗です。
風光を、美作の人情を、愛す!(M&Y記念館)
幾度となく津山を訪れ谷崎潤一郎との版画歌集にも言葉をのこしましたが
〈M〉棟方と津山を結び付けた人物こそ上斎原(現鏡野町)生まれの詩人でこのM&Y記念館の〈Y)柳井道弘です。
小さな私設美術館ではありますが代表作「釈迦十大弟子」の12枚が全て見られれる!
津山を代表するアートスポットなのです!
静かにおごそかに時を過ごせる、価値ある場所です。
実は人間国宝!なのにとっても愛らしい宮内フサさん作で、なんと他界する102歳まで制作をつづけたそうです。
手仕事ゆえ色も形も異なるまさに棟方作品とも通じるあたたかみが。
「今でいうブサカワ!」とは杉本館長さん。
珍しい油画の自画像からフンドシに描いた不動明王まで!見ていて飽きない名品ぞろい。
人との交流にまで焦点をあててるオリジナリティーの高い美術館です。
エネルギーは湧きつづける!(奥津荘/ロビー)
岡山駅のレリーフでも有名な芸術家岡本太郎の母・岡本かの子の詩を元にした版画が
真っ赤な絨毯のロビーで客人を招き入れてくれます。
この作品を含む「女人観世音版画巻」はスイスで国際版画賞を受賞し、
世界のムナカタへの引き金になったとっても幸先の良い作品!
他にもこの奥津で制作されたものや、縄文土器のような文様の器なども展示され
アメニティグッズにまで棟方画があしらわれています!
地下へとつづく階段から浴場に至るまでに施されたデザインの素敵なことったらありませんよ!
とにかく透明度が高い!源泉の上で湧きたてに浴す贅沢。
日帰り入浴もOKです。
奥津渓の紅葉
「奥津の湯元に来て想いを詰めて居る」
「丁度の雪で上斎原までは徒歩でした」
「岡山の方は智慧者が多いと聞きましたが本当ですね」
まだまだ岡山について率直に語る棟方志功。掘れば掘るほど味わいが増しハマります!
棟方の名残スポットぜひめぐってみてください!
(2018/10月下旬撮影)