毛無山の麓で"ととのう"体験。新庄村森林セラピー「ゆりかごの小径」を歩いてみた

日々時間に追われ、仕事に追われ、ふと気がつくと何だか疲れている…?そんな人におすすめしたいのが、“森に身をゆだねる”体験です。岡山県新庄村にある「ゆりかごの小径」では、毛無山の麓に広がる森の中を案内人とともに歩く「森林セラピー」が行われています。新鮮な空気を胸いっぱいに吸いながら、からだ全体で森の癒しを感じられるひととき。ゆりかごに抱かれるような体感をしに出かけませんか?
掲載日:2024年09月04日
  • ライター:おか旅編集部
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「森林セラピー」って何?

森林セラピーとは、健康に導く力のあることが科学的な証拠に裏付けされた森林浴のこと。森林セラピーを楽しむことができる「森林セラピー基地」と「セラピーロード」は、NPO法人森林セラピーソサエティが行う生理心理実験によって癒し効果が実証・認定された森で、現在全国に61ヵ所(2024年8月)。岡山県の西北端・新庄村は、県内唯一の森林セラピー基地になっています。

新庄村森林セラピー「ゆりかごの小径」

「ゆりかごの小径」は岡山県下最大級のブナ林がある新庄村、毛無山の麓に位置する全長約2Km、高低差約50mの森林セラピーコース。一部が大山隠岐国立公園特別保護地区に指定されており、森の案内人(ガイド)と同行しないと入ることができません。ガイドと共に木々の間をゆっくり歩けば、森に身をゆだねるようなひとときが体験できます。※所要時間(集合~体験~解散)は約2時間30分。

実際に「森林セラピー」を体験

今回、実際に「ゆりかごの小径」で森林セラピーを体験してみました。まずは新庄村役場のすぐ近くにある、新庄村森林セラピーの基地事務所へ!
それではここから、森林セラピー体験をダイジェストで紹介していきます。

基地事務所で受付

事前に申し込みをした日時に森林セラピー基地事務所に集合。名前や連絡先を記入して受付&料金の支払い。その後、パンフレットを見ながら森林セラピーの説明を受けます。

車で森の入口へ移動

森林セラピー基地事務所から「ゆりかごの小径」の入口である、田浪キャンプ場まで移動します。約8km、約15分の距離。ガイドが車で先導してくれるので、安全運転でついて行きましょう。到着したら早速「森林セラピー」スタートです。

この日のガイドは黒田さん

新庄村森林セラピー協議会には、現在10名以上のガイドが在籍しています。この日案内してくれたのは会長の黒田眞路さん。普段は林業に携わる“森のプロ”。森に関する豊富な知識もさることながら、軽快な語りも魅力です。

さあ、入山!

森の中に整備された散策道をガイドについて歩きます。枯れ葉や落ち葉が長い年月をかけて微生物に分解された腐葉土の道はふかふか。

間伐材のチップも足腰に優しい

森林整備のために立木を間引いた間伐材のチップが敷かれた場所もあります。足裏に伝わる感触も心地よく、楽に歩けるので腰への負担も軽減されます。

たたらのケラ

道の傍らになにやら黒い塊を発見。かつて、たたら製鉄が行われていたという新庄村。「ゆりかごの小径」の途中にはたたら集落の住居跡の石組が残っており、その名残が見られます。

持ち上げてみると重い!

周辺には製鉄炉の底にできた鉄の塊「ケラ」がたくさん転がっていました。実際に手に取って持ち上げてみると、ずっしりと重い!

森の中で出会える様々な植物

森の中ではブナやスギ、ヒノキ、カエデなどの樹木をはじめ、クロモジ、 野いちご、どんぐりなど、たくさんの植物に出会えます。新庄村に自生する、キウイフルーツの近縁種といわれる稀少果実・サルナシがなっているのを見ることもできました。

森の中の“アトラクション”

絡まるように伸びた幹に登ってみました。しなる幹が交差した場所をうまく足場にして、バランスを取りながら上へ上へ。自然が生み出した森の中の“アトラクション”も楽しめます。

ハンモックに揺られてのんびり

コースの途中にはハンモックも設置されていて、のんびり寛ぐことができます。身体を預けて寝転んだ視線の先に見える葉の重なりや、木々の間から射し込む太陽の光なども心地よく、「もうずっとここに居たい」と思うほどリラックス。

ブラインドウォーク

目隠しをして歩くブラインドウォークを体験。足の裏に伝わる道の凸凹、落ち葉や小石を含んだ土の感触、肌で感じる風の流れや、少し離れた場所から聞こえる川のせせらぎなど、目隠しすることで視覚以外の感覚が研ぎ澄まされるのが分かります。

森を育てる母樹

2人で腕を広げてもまだ足りないくらい太い幹。この木は樹木の新しい株のもとになる種子をとるための母樹(ぼじゅ)だそう。まさに森を育てる母なる樹です。

樹の声を聴いてみる

樹の幹に聴診器を当ててみると…、なんと音が聴こえました。大地から水を吸い上げる、樹が生きていることを実感できる力強い生命の鼓動に感動!

山に向かって「ヤッホー!」

山に向かって大きな声で「ヤッホー!」。自分の声が周囲の山にコダマして帰ってくるのが面白い。街ではなかなか大声で叫ぶことはできませんが、ここでは思い切ってどうぞ!

毛無山の山頂を望む

「ゆりかごの小径」があるのは毛無山の麓。森林セラピーの終盤、標高1,219mの山頂を望みながら森のこと、植物のこと、さらに季節ごとの楽しみ方など、山の話は尽きません。

森林セラピー終了

出発地点の田浪キャンプ場へ戻ってきました。約2時間半の森林セラピー終了。記念にガイドの皆さんが「ゆりかごの小径」で撮影した、四季折々の花や風景のポストカードをいただきました。

まとめ

森林セラピー体験は想像以上の心地よさ。街なかを離れて過ごす森での時間にリラックス&リフレッシュ。普段山道を2時間以上続けて歩くことなんてありませんが、疲れるどころかなんだか心身ともに軽くなった感じです。森の中を歩いて“ととのう”体験は、クセになりそうです。

【岡山県新庄村森林セラピー】
所在地:岡山県真庭郡新庄村田浪
※集合場所は森林セラピー基地事務所(真庭郡新庄村2008-1/新庄村役場すぐ)
TEL・FAX:0867-44-1330(新庄村森林セラピー協議会)
実施時期:通年
予約:希望日の1週間前までに電話・FAX・メールにて要予約
料金:ガイド1名につき6,000円+参加者数×500円(ガイド1名につき参加者は6名まで)
※案内料・保険料・管理費込み
受入人数:1~30名程度
駐車場:あり

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