歴史と自然美が眠る備前市日生「大多府島」を歩いて感じる島時間

備前市の日生(ひなせ)港から定期船で約30分の所に位置する離島「大多府島(おおたぶじま)」。周囲約5kmの島は、歩いて周れる自然研究路があり、江戸時代からの建造物や自然が生み出す絶景がたくさんあります。3時間たっぷり歩いた後は、日生に戻って名物「日生カキオコ」も堪能してきました。
掲載日:2024年12月02日
  • ライター:高杉郁子
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日生港から出発!

大多府島(おおたぶじま)に向かうには、日生港から出航する定期船に乗ります。駐車場もすぐ近くにあります。便数が少ないので、時刻表をチェックして遅れないように要注意です。
大多府島まで片道620円。

大多府島待合所

島に着いて目の前にあるのが大多府島待合所。ちょうど郵便局の方が自転車で配達されていて、ゆったりとした島の時間の流れを感じました。

日本遺産の構成文化財「大多府漁港元禄防波堤」

大多府島は、順風を待つ場「かぜまち」の島として栄えていたそうです。元禄11年(1698年)、備前国と備中国を統治していた岡山藩主池田綱政が、津田永忠に命じて元禄防波堤が作られました。
特徴ある造りは、備前市にある閑谷学校の石塀と同じものだそうです。
残念ながら、元禄防波堤まで歩いて行くことができませんが、港から見ることができます。

この元禄防波堤は、日本遺産「荒波を越えた男たちの夢が紡いだ異空間 ~北前船寄港地・船主集落~」の構成文化財に認定されています。

大多府加子番所

元禄11年の開港と同時に在番所、加子番所(かこばんしょ)を置いて管理にあたり、幕府の用船や諸侯の船舶に給水したり、海難救助をしていたそうです。(建物・位置は現在と異なる)
現在は、定期船の待合所・休憩所として使われています。
 

日本遺産の構成文化財「六角大井戸」

大多府島待合所から路地を抜けると、集落の中に「六角大井戸(ろっかくおおいど)」があります。
元禄時代に津田永忠によって構築され、港に寄港する廻船、御用船に飲料水を供給しました。日照り続きでも枯れることのなかった井戸です。覗いてみると今でも水が溜まっています。
集落の中にあり、ここだけ石畳が敷かれ、水神様が祀られ、昔の賑わいと、大切にされてきたことがうかがえます。

春日神社

六角大井戸から徒歩5分ほどの場所に「春日神社」があります。
本土の春日神社の神社棟札が保存されているそうです。

宮ノ下海水浴場

春日神社から海側へ行くと「宮ノ下海水浴場」があります。小さなビーチですが、遠浅で透明度の高い海のため、海水浴で人気です。更衣室・シャワー・トイレも近くにあります。

夫婦岩

宮ノ下海水浴場に元禄防波堤によく似た防波堤が海に向かって伸びています。これは歴史的建造物ではないそうですが、ここから眺める「夫婦岩」は絶景なので撮影スポットとしておすすめです!

瀬戸内海とカキ筏

宮ノ下海水浴から山の方へ登っていくと、瀬戸内海に浮かぶカキ筏(いかだ)が並んでいるのが見えます。日生ならではの絶景ですね。

自然研究路を歩いて島を散策!

大多府島は全周約5kmの小さな島。山林や海岸沿いに島内を一周する3.5kmの周遊路「自然研究路」があります。山道は、さほど険しくはなく約2時間で島巡りができます。

日本遺産の構成文化財「燈籠堂」

自然研究路を進むと、灯台にあたる「燈籠堂(とうろうどう)」があります。元禄防波堤が作られ、港が開かれた後、航路の安全と、港への道しるべのために造られ、明治初期まで燈をともし続け、昭和61年に再建されました。大きさがかなり大きいのが私と比べるとよくわかります。

お地蔵さんとツワブキ

自然研究路を歩いていると、いたるところでお地蔵さんに出会います。島内で八十八ヶ所巡りができるそうです。
時には、斜面の急な林の中にも見かけました。そして、キク科の黄色い花の「ツワブキ」もよく見かけます。庭木や石の根締めとして古くから利用され、江戸時代には茶室の庭にも喜ばれました。大多府島では自生していて、お地蔵様の隣にも、黄色でかわいらしく咲いていました。

荒々しい海岸の自然美

さらに進んでいくと、島の南側へ。瀬戸内海を目の前に、眼下には荒々しい岩場の海岸線が続きます。岩場の下は、断崖絶壁の海、高さもかなりあるので高所恐怖症の方にはお勧めできませんが、気持ちの良い絶景ポイントがいくつかあります。タイタニックのポーズで撮ってもらいました 笑。

勘三郎洞窟を目指すも…

江戸時代に勘三郎が藩札を偽造していたと伝えられる洞窟「勘三郎洞窟(かんざぶろうどうくつ)」を目指して自然研究路を進みましたが、現在は落石の危険性があり、立入禁止になっています。遠巻きに写真を撮って引き返しました。写真の矢印の先に「勘三郎洞窟」があるそうです。

宿泊施設 ふれあいの館「かぜまち」

大多府島唯一の宿泊施設、風待ち港の漁師の民家をイメージしたふれあいの館「かぜまち」。
民家風の造りの2階建で、1階に台所と囲炉裏のある談話室があり、2階に宿泊のお部屋(2部屋各定員5名)があります。家族や小グループに最適です。バス・トイレ・冷暖房も完備。

【ふれあいの館「かぜまち」】
お申し込み:090-3357-3832
宿泊料金:中学生以上3,500円、4歳~小学生2,500円
(浴衣、パジャマ、歯ブラシ等は持参)
お食事:自炊
その他:ペット同伴不可

大多府島を後に

今回は、約3時間の滞在でのんびり自然を満喫できました。江戸時代の歴史背景を知って島を巡ると感じ方も違い、歴史的建造物がそのまま残っているのはとても貴重に感じました。定期船の30分間も、海風が気持ちよく、眺めの良いひと時を過ごせました。島にタイムスリップして、トレッキングしてみるのもおすすめですよ!

日生に戻ってご当地グルメ「日生カキオコ」を食べよう

日生港に戻り、ここに来たらぜひ食べたい「日生カキオコ」のお店に!
名店が並ぶ日生港のカキオコ名店街!平日だったので、行列もなく、運よく入れました。週末は行列覚悟で並ぶも、売切れになることも多々あり、本当にラッキーでした。

訪れた日は、午後からむき牡蠣の解禁だったようで、冷凍もののカキからとれたてのカキに切り替わる日でした!今年初物のとれたてのカキオコを頂くことができ、本当に幸せでした♡
大多府島ではたくさん歩いたので、お腹もぺこぺこ、鉄板の上で熱々のカキオコが美味しかったです!カキオコ最高♡

ほり お好み焼

【ほり お好み焼】
所在地:岡山県備前市日生町日生886-5
TEL:0869-72-0045
営業時間:10:00~15:00
定休日:水曜日
駐車場:あり

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