「桃太郎伝説」の生まれたまち おかやま ~古代吉備の遺産が誘う鬼退治の物語~ (2018年の日本遺産認定)
吉備津神社は西暦300年ごろに創建されたとも言われており、江戸時代には、香川県の金刀比羅宮へお参りする「こんぴら参り」とともに、全国から参拝者が訪れ、当時から信仰と歴史がある場所となっています。
神社の見どころは、3つ。1つ目が、『比翼入母屋造』の本殿・拝殿(国宝)。全国でも珍しい建築を見ることができます。2つ目が、廻廊です。全長約400mの廻廊は、自然の地形をそのままに、しなやかに一直線に続いています。そして、3つ目が『鳴釜神事』です。
「音が大きく豊かに聞こえたら吉。途切れたり、聞こえなかったら凶」、そうお話してくださるのは、禰宜の上西さんです。
大吉備津彦命に敗れた温羅は、首だけになっても唸り続けました。その温羅の首が埋められたとされる御竃殿では、吉凶を占うことができます。
釜で燃える木が勢いを増し、部屋中が煙に包まれます。突然、部屋全体に牛が鳴くような「ぶぉーん」という音が響き渡ります。鮮明に、はっきりと聞こえてきます。「太く安心感のある音」、「もっと聞いていたい」、「聞こえなかった」など、聞く人の心にどう響くか、その感じ方で吉凶を占います。
吉備路にはいろいろな桃太郎伝説のお話が残されています。古代のロマンに思いをはせる旅に出かけてみてはいかがでしょうか。
※鳴釜神事の様子は、特別に許可をいただいて撮影しています。
荒波を越えた男たちの夢が紡いだ異空間 ~北前船寄港地・船主集落~ (2018年日本遺産認定)
瀬戸大橋のふもとに位置する下津井。今も昔も、港町として知られています。
江戸時代、「一航海一千両の利益」と言われた北前船は、ここ下津井にも寄港しました。「風待ち・潮待ち」だったこの地には、綿などの肥料に使用されたニシン粕が大量に北海道から運び込まれ、最盛期には60隻ほどの北前船が来航しました。当時の繁栄が目に浮かんできます。
瀬戸大橋を眺めながら、日本遺産の町をぶらり散歩。おすすめです。
一輪の綿花から始まる倉敷物語 ~ 和と洋が織りなす繊維のまち ~ (2017年日本遺産認定)
約400年前まで海だった倉敷は、米の栽培に向かず、綿やイ草の栽培に適した場所でした。江戸時代後期から下駄の鼻緒などの生産が始まり、明治には足袋、大正には学生服、そして現在はジーンズや帆布が作られ、歴史と文化が受け継がれながら、人々の暮らしに寄り添った発展を続けています。
現在も倉敷は、繊維製品の年間出荷額日本一の「繊維のまち」となっています。
「ジャパンレッド」発祥の地 -弁柄と銅の町・備中吹屋- (2020年日本遺産認定)
ベンガラの紅に染まる町、吹屋ふるさと村。かつて国内屈指のベンガラと銅(あかがね)生産で繁栄した鉱山町です。弁柄は社寺などの建築や船の塗装などに使用され、日本のイメージカラーである「ジャパンレッド」を創り出しました。
知ってる!? 悠久の時が流れる石の島 ~海を越え、日本の礎を築いた せとうち備讃諸島~ (2019年日本遺産認定)
岡山県の南西端に位置する笠岡諸島は、瀬戸内海の中心に大小31の島からなっています。今回訪れたのは、石で栄えた笠岡諸島最大の島、北木島。お笑い芸人「千鳥」の大悟さんの出身地でも知られています。
北木島で採掘された花崗岩の「北木石」は、大坂城の石垣や東京駅の駅舎などに用いられ、長きにわたり日本の建築文化を支えてきました。
ぜひ訪れていただきたい場所は、日本遺産構成文化財「北木石の丁場」です。高さ約70mの採石現場を展望台から見学することができます。その景色は圧巻です。
また、日本遺産構成文化財「北木島の丁場湖」は、採石場の跡に雨水が溜まることでつくられた湖で、山水画を連想させる景観から北木の桂林と呼ばれています。
その他の日本遺産構成文化財「千ノ浜の護岸景観」(通称は北木のベニス)など見どころが点在しているので、島巡りにはレンタサイクルやタクシーがおすすめです。
タクシーといっても、両サイドに遮るものがないグリーンスローモビリティ、通称グリスロを採用しています。同一区域内100円、区域間200円とお手頃です。ぜひ気持ち良い潮風を感じながら、島時間を楽しんでみてください。
近世日本の教育遺産群 -学ぶ心・礼節の本源- (2015年日本遺産認定)
JR山陽本線・吉永駅から車で約10分、徒歩で約40分の山間にあり、「山深く静かなところで学問をするのに良い場所」として選ばれた、当時の面影を今も見ることができる場所です。
当時8歳から19歳くらいまでの子どもたちが儒学を学んだ講堂は、国宝に指定されています。屋根瓦が備前焼でできているので、訪れた際はチェックしてみてください。
きっと恋する六古窯 -日本生まれ日本育ちのやきもの産地- (2017年日本遺産認定
岡山デスティネーションキャンペーン開催中!!
キャンペーン期間中は、晴れの国岡山の豊かな自然、旬のフルーツなどをテーマにした様々な企画をご用意しています。
ご旅行の際は、「新しい旅のエチケット」(観光庁ホームページ)などを意識していただき、安全で楽しい岡山へお出かけください。
おかやま日本遺産探訪7つのストーリーを巡る旅【full ver.】
岡山デスティネーションキャンペーン特別企画 (7/1~9/30)
・大原美術館プレミアムモーニングツアー ~モネの朝食~
・倉敷美観地区まち歩きクーポン
・特別史跡旧閑谷学校 孔子像特別公開
・赤で彩るアート展
・吉備ロマン無料循環バス&鬼ノ城バス
・吉備津神社正式参拝と境内案内・鳴釜神事
編集後記
今回は、岡山県の日本遺産に注目して取材に行ってきました。以前訪れた場所でも、日本遺産に登録された背景や歴史・文化などを知ると、新たな視点で見ることができました。「岡山県は知れば知るほど面白い」と私はそう思います。これからも岡山県の魅力をたくさん発信していきます。
JALが提案する観光ガイド「OnTrip JAL」では、空の旅のエキスパートであるJALの客室乗務員・パイロット・スタッフ(添乗員や支店担当者)が、耳寄り情報をお届けしています。