井原鉄道の「特別車両」で乗り鉄旅を楽しもう!個性豊かな列車がずらり

岡山県総社市と広島県福山市を結ぶ第三セクターの井原鉄道。一両や二両編成の列車が走るローカル線ですが、実はここに個性的な列車が走っているのです。今回は乗り鉄旅にオススメな、井原鉄道の個性豊かな特別車両をご紹介します!
掲載日:2025年04月22日
  • ライター:井伊ひろゆき
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井原線はスーパーローカル線

全国に「ローカル線」と呼ばれている路線はたくさんありますが、井原線もそのひとつ。一両や二両の列車が走っています。

トコトコ走っていると思いきや…、ブォォォン!とエンジン音を響かせながら高速運転。なんと最高速度は95km!ここまで速度を出せるのには理由があります。理由は「線路」。
井原線は1999年開業(20世紀最後に開業した鉄道)という比較的新しい路線なので、建造当時から「PCまくらぎ(コンクリート製の枕木)」を線路に使ったり、高架橋やトンネルでカーブを減らしたりすることで、速度が出せる構造になっているのです。そして、高架橋など高い所を走るので、景色も良く、乗り鉄にオススメの路線です。

井原線の秘密その①

井原線の開業は1999年(平成11年)。主力車両であるIRT355形は1998年(平成10年)に新潟鐵工所で作られました。でも実は、1両だけ2005年(平成17年)に製造された車両があります。それが「夢やすらぎ号」。製造銘板を見ると、製造社名も新潟トランシス(2003年に新潟鐵工所から経営を引き継ぎ)に変わっています。
 

井原線の秘密その②

井原線の列車は全てディーゼル車(気動車)ですが、運転席はまるで電車のよう。最近では電車も気動車も装置類をなるべく共通化することでコストを抑えたり、運転しやすくしているためです。また、井原線の列車はJR線(総社駅~清音駅・神辺駅~福山駅)にも乗り入れているため、保安装置などもJR線を走れる構造になっています。

井原線の秘密その③

鉄道車両は日本各地にある車両整備工場で定期的に検査をしています。そのために多くの車両は普段走っているエリアとは違うところまで回送をしています。
井原線の車両(IRT355形)も安全に走るために検査が必要ですが、遠くまで回送をすることがありません。何故かというと、岡山県井原市にある井原鉄道の車両基地で検査をしているから。専門家に車両基地まで来てもらうことで、遠くまで回送する必要がないのです。逆に言うと井原線の列車は、岡山に来ないと見れないということです!

特別車両紹介①「夢やすらぎ号」

たくさんの個性的な車両がある井原鉄道。最初に紹介するのは赤い車体が特徴的な「夢やすらぎ号」です。コンセプトは「お部屋のようにリラックスして心やすらぐ旅を」。

木材を使った豪華で落ち着いた車内

車内は鉄道の車両とは思えないほど、ゆったりした雰囲気です。ブラインド、ベンチ、吊り手、荷物棚、カウンターなどには天然の無垢材が使われていて、座席にはテーブルも付いています。

夢やすらぎ号の車内にはオリジナルスタンプも

車内にはオリジナルスタンプも設置されています。
 

特別車両紹介②「スタートレイン」

スタートレインのコンセプトは「天文王国おかやま鉄道と星空の楽しい旅を」。車体には沿線地域の観光素材をモチーフとしたイラストや、星座や星々が散りばめらています。
日本初の公開天文台や、国内最大の望遠鏡が設置されるなど、天文との縁が深い岡山県。さらに晴天率が高く、晴れの国といわれる岡山県は、星がよく見えることから天文王国と呼ばれています。

車内にも星々が

車内にもイラストや星々が描かれていて、まるでプラネタリウムに来たかのような雰囲気が体験できます。

中づり広告も天文一色!

車内の中づり広告では、全国の星空保護区についての情報や、光害(ひかりがい)など星空に纏わる情報が紹介されています。

特別車両紹介③「アート列車」

アート列車のコンセプトは「世界的芸術が列車に乗ってまちへ飛び出す。見る人、乗る人、地域に暮らす人々の身近に、心躍る、心癒すアートがある」。
車両の内外には「切手」モチーフに収められた名画の数々。そして額縁をイメージして車体全体に施された金色が特徴的な”作品”。まさに走る美術館列車です。

列車の中とは思えないアートな車内

車内の壁や天井にずらりと作品の数々が。さらにブラインドを下ろすと…なんとここにもアート作品が“展示”されています。下記の動画でご確認ください。
 

ブラインドを下ろすと…

特別車両紹介④「戦国列車」

かつて山陽道が通り、多くの山城跡がある井原線沿線。その線路を駆けるのが「戦国列車」です。
コンセプトは「お客様に井原線沿線地域の歴史的魅力を発信」。地域ゆかりの武将「北条早雲」をはじめとした沿線氏族の家紋等をふんだんに纏ったデザインになっています。

歴史に関する情報が盛りだくさん

車内には至る所に家紋や沿線のお城跡やゆかりの人物を紹介する説明が見られます。そして吊革には兜まで!

歴史情報が盛りだくさん

中づり広告では沿線の城跡やゆかりの人物が紹介されています。高越城や猿掛城、北条早雲や吉備真備など、鉄道に乗りながら沿線の歴史を知ることができます。

井原線の絶景「高梁川橋梁」

井原線の中でも一番の絶景である、高梁川橋梁。清音駅と川辺宿駅の間、高梁川に架かる全国でも珍しいカーブしている鉄橋です。平成5年度の「土木学会技術賞奨励賞」にも選定されています。

井原線「清音~川辺宿」走行映像(音が出ます)

エキタグで乗り鉄を楽しもう!

井原線では全駅に「エキタグ」が設置されています。エキタグとはデジタル駅スタンプのことで、スマホにアプリをダウンロードすることで、タッチするだけでデジタルスタンプがゲットできます。

まとめ

特別車両の運行情報やお得な切符情報、沿線のイベント・観光情報などは井原鉄道の公式サイトで公開されています。ぜひチェックして乗り鉄旅を楽しんでください。

<スーパーホリデーパス>
井原線利用の際に便利でお得なのが、大人1,400円、小人700円で1日乗り放題になる「スーパーホリデーパス」。
販売場所:清音駅、矢掛駅、井原駅、神辺駅、吉備真備駅前 太田文具、列車内(停車時に乗務員へ申し出)
※RYDE PASS(デジタルチケットアプリ)での購入、使用も可
利用期間:2026年3月31日までの土・日曜日、祝日、ゴールデンウィーク(4月26日~5月6日)、お盆(8月9日~8月17日)、年末年始(12月27日~1月4日)

<沿線の2025年GWイベント情報>
①2025年4月27日(日)10:00~15:00 「井原市北条早雲まつり」
会場:高越城址 ※早雲の里荏原駅から祭り会場へのシャトルバス運行予定
②2025年5月3日(土)~5月6日(火・祝) 「GWは中世夢が原へ出かけよう」
会場:中世夢が原 ※矢掛駅もしくは井原駅からバスと徒歩で約60分
③2025年5月4日(日)9:00~12:00 「井原線DE得得市」
会場:井原駅


・写真や動画を撮る際は、周囲の方への配慮をお願いします。
・立ち入り禁止エリアの進入や、ホームから乗り出しての撮影など、危険な迷惑行為はやめましょう。
※今回の取材では許可を得て撮影を行っています。

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