「よい米」「よい水」「よい技」。三拍子が揃う岡山の銘酒の数々

万葉集にもその名が残る吉備の酒。備中杜氏がさらに磨いた岡山の酒

「古人(ふるひと)の 飲(たま)へしめたる 吉備の酒 病めばすべなし 貫簣(ぬきす)賜(たば)らむ」。
三大河川の豊かで清らかな水と、肥沃な大地が育む良質な米に恵まれた吉備の国(岡山の古代の国名)は、万葉集に歌われるほどに古くから酒造りが行なわれていた地です。
その味わいにさらに磨きをかけたのが、元禄年間(1690年頃)に岡山県の西部地域で誕生した備中杜氏。杜氏とは、酒造りに携わる蔵人を率いる総責任者で、酒の出来映えを決める重要な存在です。中でも備中杜氏は、明治40(1907)年の「第1回全国清酒品評会」で第1位に入賞し、全国的にその技術の優秀さが知られるようになりました。

地の水と地の風土で、雄町米の秘めたる旨みを引き出す

備中杜氏が主流となって磨かれてきた岡山の酒。近年は、但馬杜氏、南部杜氏、越後杜氏なども加わり、多彩な酒が醸されています。
たとえば、備中杜氏(寄島系)の流れを汲む『菊池酒造』では、「旨みがあってキレの良い、一度飲んだら忘れられないような酒」を目指しています。音楽家としても知られる社長杜氏が、モーツァルトの音楽が流れる蔵の中で、雄町米を用いて造る「燦然(さんぜん)」は、幅のあるなめらかな旨さと、あとギレのよいやや辛口な味わいが特徴です。
また、軽部産雄町米の復活に地元農家とともに尽力した『利守酒造』は、但馬杜氏の系譜。地の米、地の水、地の風土で「真の地酒」造りを標榜しています。雄町米の旨みを十二分に引き出した「酒一筋」は、すっきりとした味わいの中にも、しっかりとした米の旨みを楽しめる逸品です。

酒処・岡山で醸される地酒。多彩な味わいをご賞味あれ

  • 御前酒

    御前酒

  • 大典白菊

    大典白菊

  • 泡々酒

    泡々酒

  • 櫻室町

    櫻室町

備中杜氏組合長を務めた前杜氏の熟練の技を引き継ぐ『辻本店』には、全国的に珍しい「菩提もと」製法で醸す、すっきりとした辛口の「御前酒」。
同じく備中杜氏の技を引き継ぐ『白菊酒造』には、自社で復活させた独自の酒米や無農薬の酒米など米にこだわった「大典白菊」。
造り酒屋が国の登録有形文化財に指定された『丸本酒造』には、米を酵母の自然な力で発酵させたスパークリング純米酒「泡々酒」。
元禄元年(1688年)の創業から11代続く『室町酒造』には、国内外のコンテストで受賞を重ねる「櫻室町」。
このほか岡山県内の各蔵には、個性豊かな酒が揃っています。それぞれの蔵元が醸す多彩な味わいを、ぜひご賞味ください。

取材協力:菊池酒造、利守酒造
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「よい米」「よい水」「よい技」三拍子が揃う岡山の銘酒の数々。ご家族や大切な方との特別な時間を、岡山の酒とともに過ごしてみませんか?